起業を目指すあなたにとって、会社設立の第一歩となる「定款」の作成は避けて通れない重要なステップです。しかし、「定款って何?」「テンプレートはどこで手に入るの?」と疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、起業に必要な定款の基本知識から、法人格別・業種別のテンプレート選び、実際の記載例、さらには無料で使える便利なツールまで、定款作成に役立つ情報を網羅的に解説します。これから会社を立ち上げる方が、スムーズかつ安心して定款を作成できるよう、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。
この記事を読めば、あなたにぴったりの定款テンプレートが見つかり、理想の会社設立に一歩近づけるはずです。
定款テンプレートとは?起業に必要な基本知識
起業を考えるとき、まず立ちはだかるのが「定款(ていかん)」の作成です。定款は会社の基本ルールを定めた重要な書類であり、法人設立の際には必ず必要になります。この記事では、定款の基礎知識から種類、作成のタイミングまでをわかりやすく解説します。
定款とは何か?その役割と重要性
定款とは、会社の目的や組織、運営方法などを定めた基本的なルールブックのようなものです。会社の「憲法」とも呼ばれ、設立時に作成し、公証人の認証を受けることで法的効力を持ちます。
定款の主な役割は以下の通りです。
- 会社の目的や事業内容を明確にする
- 組織構成や意思決定の仕組みを定める
- 出資や株式に関するルールを設定する
- トラブル時の判断基準となる
起業時に定款が必要な理由
会社を設立する際には、法務局への登記申請が必要です。その際、定款は登記書類の一部として提出しなければなりません。特に株式会社の場合は、公証人の認証を受けた定款がなければ登記ができません。
また、定款は設立後の会社運営にも大きく関わります。例えば、役員の選任方法や株主総会の開催手続きなど、会社のルールが明文化されているため、トラブル防止にもつながります。
株式会社・合同会社・NPO法人の違いと定款の関係
法人の種類によって、定款に記載すべき内容や作成方法が異なります。以下の表に主な違いをまとめました。
| 法人形態 | 定款の認証 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 必要(公証人の認証) | 出資者と経営者が分かれる。資金調達しやすい。 |
| 合同会社(LLC) | 不要 | 出資者=経営者。設立費用が安く、柔軟な運営が可能。 |
| NPO法人 | 所轄庁の認証が必要 | 営利を目的としない。社会貢献活動が中心。 |
定款の種類:紙の定款と電子定款の違い
定款には「紙の定款」と「電子定款」の2種類があります。どちらも法的効力は同じですが、作成方法や費用に違いがあります。
- 紙の定款:印紙税4万円が必要。印刷して公証役場に持参。
- 電子定款:PDF形式で作成し、電子署名を付与。印紙税が不要。
コストを抑えたい場合は、電子定款の利用がおすすめです。ただし、電子署名ソフトや専用ソフトが必要になるため、手続きに慣れていない方は専門家に依頼するのも一つの方法です。
定款作成のタイミングと流れ
定款は会社設立の初期段階で作成します。以下は一般的な流れです。
- 会社の基本情報(商号・目的・本店所在地など)を決定
- 定款を作成(テンプレートを活用すると便利)
- 電子署名または印刷して公証人の認証を受ける
- 資本金の払込を行う
- 法務局に登記申請を行う
このように、定款の作成は会社設立の土台となる重要なステップです。次章では、実際にどのようなテンプレートを使えばよいのか、選び方と活用法を詳しく見ていきましょう。
定款テンプレートの選び方と活用法
定款テンプレートは、会社設立時の定款作成をスムーズに進めるための強力なツールです。しかし、テンプレートには無料のものから有料のものまでさまざまあり、法人格や業種によっても適した形式が異なります。この章では、テンプレートの種類や選び方、活用時の注意点について詳しく解説します。
無料テンプレートと有料テンプレートの違い
定款テンプレートには、無料で提供されているものと、有料で販売されているものがあります。それぞれの特徴を理解して、自社に合ったものを選ぶことが大切です。
| 項目 | 無料テンプレート | 有料テンプレート |
|---|---|---|
| 費用 | 0円 | 数千円〜数万円 |
| 内容の充実度 | 基本的な構成が中心 | 業種別・法人格別に詳細な記載あり |
| サポート | なし、または簡易的 | 専門家のサポート付きが多い |
法人格別(株式会社・合同会社・NPO法人)のテンプレート比較
法人の種類によって、定款に必要な記載内容や形式が異なります。以下に、法人格ごとのテンプレートの特徴をまとめました。
- 株式会社:株式や取締役会などの記載が必要。公証人の認証が必須。
- 合同会社:出資者と経営者が同一。柔軟な運営が可能で、認証不要。
- NPO法人:非営利活動が前提。所轄庁への申請が必要で、独自の記載項目が多い。
業種別に見るおすすめテンプレート
業種によっても、定款に記載すべき内容が変わることがあります。特に許認可が必要な業種では、定款に特定の文言を含める必要があるため、業種別のテンプレートを活用するのが安心です。
例えば、以下のような業種では注意が必要です。
- 建設業:建設業法に基づく記載が必要
- 人材派遣業:労働者派遣法に準拠した目的の記載が必要
- 飲食業:食品衛生法に基づく営業許可に対応した記載が必要
テンプレートを使うメリットと注意点
テンプレートを使うことで、定款作成の手間を大幅に省くことができます。ただし、すべてのテンプレートが自社に合っているとは限らないため、内容をしっかり確認することが重要です。
- メリット:作成時間の短縮、記載漏れの防止、法的要件の確認がしやすい
- 注意点:テンプレートの内容が古い場合がある、自社に合わない項目が含まれている可能性がある
テンプレートのカスタマイズ方法
テンプレートはそのまま使うのではなく、自社の実情に合わせてカスタマイズする必要があります。以下のポイントを参考に調整しましょう。
- 会社の目的を具体的に記載する
- 役員構成や任期を実態に合わせて設定する
- 株式や出資に関する条項を明確にする
- 不要な条項は削除し、必要な条項を追加する
よくある失敗とその回避法
テンプレートを使って定款を作成する際、以下のようなミスが起こりがちです。
- 目的が曖昧で許認可が下りない
- 記載ミスにより登記が受理されない
- 会社の実態と合わない内容で運営に支障が出る
これらを防ぐには、作成後に専門家にチェックしてもらうのが効果的です。
テンプレートの法的有効性と注意点
テンプレート自体には法的効力はありませんが、正しく記載・認証された定款は法的効力を持ちます。そのため、テンプレートを使用する際は、最新の法令に準拠しているかを確認することが大切です。
電子定款に対応したテンプレートの選び方
電子定款を作成する場合、WordやPDF形式で編集可能なテンプレートが便利です。また、電子署名に対応しているかどうかも確認しましょう。
- Word形式:編集しやすく、カスタマイズに最適
- PDF形式:そのまま提出できるが、編集には専用ソフトが必要
専門家に依頼する場合のポイント
自分で作成するのが不安な場合は、司法書士や行政書士に依頼するのも一つの方法です。以下のような点を確認して依頼先を選びましょう。
- 法人設立の実績が豊富か
- 料金体系が明確か
- 電子定款に対応しているか
テンプレートを使わずにゼロから作る方法は?
テンプレートを使わずに定款を作成することも可能ですが、法的要件をすべて満たす必要があるため、相応の知識と労力が求められます。以下のような場合は、ゼロからの作成を検討してもよいでしょう。
- 特殊な事業内容で既存のテンプレートが合わない
- 複雑な組織構成を予定している
- 法的な知識に自信がある、または専門家のサポートがある
ただし、少しでも不安がある場合は、テンプレートをベースにカスタマイズする方法が現実的です。
定款の記載例と章ごとのサンプル
定款は章立てで構成されており、それぞれの章に会社運営の基本ルールが記載されます。この章では、定款の代表的な構成に沿って、各章の記載例とポイントを紹介します。法人の種類ごとのサンプルや、定款変更の手続きについても解説します。
第1章:総則の記載例とポイント
総則では、会社の基本情報を明記します。ここは定款の土台となる部分であり、会社のアイデンティティを示す重要な章です。
- 商号(会社名)
- 目的(事業内容)
- 本店所在地
- 公告の方法
例:
- 第1条 本会社は、株式会社〇〇と称する。
- 第2条 本会社は、次の事業を営む。…(以下、事業内容を列挙)
- 第3条 本会社は、本店を東京都新宿区に置く。
- 第4条 本会社の公告は、官報に掲載して行う。
第2章:目的・商号・本店所在地の書き方
目的は、会社が行う事業の範囲を定めるもので、将来の事業展開も見据えて幅広く記載するのが一般的です。商号や所在地も、登記と一致している必要があります。
| 項目 | 記載例 | ポイント |
|---|---|---|
| 目的 | Webサイトの企画・制作・運営 | 将来の事業も見越して複数記載 |
| 商号 | 株式会社グリーンリーフ | 登記簿と完全一致させる |
| 本店所在地 | 東京都渋谷区 | 番地まで記載する場合は正確に |
第3章:株式・出資金に関する記載例
株式会社の場合、株式に関する規定が必要です。出資金の額や株式の譲渡制限など、資本構成に関わる重要な内容が含まれます。
- 発行可能株式総数
- 株式の譲渡制限
- 株主名簿の管理
例:
- 第5条 本会社の発行可能株式総数は1,000株とする。
- 第6条 本会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。
第4章:機関設計(取締役・株主総会など)の記載例
会社の意思決定機関や役員に関する規定を記載します。取締役の人数や任期、株主総会の開催方法などが含まれます。
- 取締役の人数と任期
- 代表取締役の選定方法
- 株主総会の招集と議決方法
例:
- 第10条 本会社は、1名以上の取締役を置く。
- 第11条 取締役の任期は2年とする。
- 第12条 株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に開催する。
第5章:計算・事業年度の記載例
会社の会計に関するルールを定める章です。事業年度の期間や剰余金の配当などが記載されます。
- 事業年度の開始日と終了日
- 計算書類の作成と承認
- 剰余金の配当方法
例:
- 第15条 本会社の事業年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。
- 第16条 剰余金の配当は、株主総会の決議によって行う。
第6章:附則の記載例と注意点
附則では、設立時に必要な特別な規定や、経過措置などを記載します。設立時の取締役や発起人の氏名などもここに記載されることがあります。
例:
- 第20条 本会社の設立時取締役は、次のとおりとする。…(氏名を記載)
- 第21条 本定款は、令和◯年◯月◯日から施行する。
株式会社の定款サンプル
以下は、株式会社の定款の基本構成例です。
- 第1章 総則
- 第2章 株式
- 第3章 株主総会
- 第4章 取締役および代表取締役
- 第5章 計算
- 第6章 附則
合同会社の定款サンプル
合同会社では、出資者がそのまま経営者となるため、株式会社よりもシンプルな構成になります。
- 商号
- 目的
- 本店所在地
- 社員の氏名・出資額
- 業務執行の方法
- 利益配分の方法
NPO法人・一般社団法人の定款サンプル
非営利法人では、営利目的の法人とは異なる記載が求められます。特に、目的や事業内容、社員の構成などに注意が必要です。
- 目的と事業の公益性
- 社員の資格と入退会手続き
- 理事会・総会の運営方法
- 資産の帰属先(解散時)
定款変更の手続きと記載例
会社設立後に事業内容の追加や本店移転などがあった場合、定款の変更が必要になります。変更には株主総会の特別決議が必要であり、変更後は登記手続きも必要です。
例:
- 第2条(変更前) 本会社は、東京都新宿区に本店を置く。
- 第2条(変更後) 本会社は、東京都渋谷区に本店を置く。
変更後は、株主総会議事録や変更後の定款を添えて、法務局に登記申請を行います。
定款テンプレートの入手先と便利ツール
定款をスムーズに作成するためには、信頼できるテンプレートやサポートツールを活用するのが効果的です。ここでは、定番の入手先から、クラウドサービス、登記に必要な書類との関係、そして便利な無料ツールや専門家のアドバイスまで、実用的な情報をまとめて紹介します。
日本公証人連合会のテンプレート紹介
公的な信頼性を重視するなら、日本公証人連合会が提供する定款テンプレートは非常に有用です。株式会社設立時に必要な定款の基本構成が整っており、公証人の認証を受ける際にもスムーズに進められます。
- 公式サイトから無料でダウンロード可能
- 法改正に対応した最新のフォーマット
- 公証人の認証に適した形式で安心
マネーフォワード・freeeなどのクラウドサービス活用法
最近では、クラウド型の会社設立支援サービスを利用することで、定款作成から登記書類の準備までを一括で行えるようになっています。特に「マネーフォワード クラウド会社設立」や「freee会社設立」は人気の高いサービスです。
| サービス名 | 主な機能 | 特徴 |
|---|---|---|
| マネーフォワード | 定款作成、登記書類作成、電子定款対応 | 業種別テンプレートが豊富、UIがわかりやすい |
| freee | 定款作成、電子定款対応、登記書類の自動生成 | 質問に答えるだけで書類が完成、初心者向け |
登記申請に必要な書類と定款の関係
定款は、登記申請時に提出する書類の中でも最も重要なものの一つです。特に株式会社の場合は、公証人の認証を受けた定款の写しを添付する必要があります。
登記申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 定款(認証済みの写し)
- 登記申請書
- 発起人の同意書
- 資本金の払込証明書
- 取締役の就任承諾書
定款の内容が不備だと、登記が受理されない可能性があるため、事前のチェックが重要です。
定款作成をサポートする無料ツールまとめ
定款作成を効率化するための無料ツールも多数存在します。以下に代表的なツールを紹介します。
- 日本公証人連合会のWordテンプレート:基本構成が整っており、編集しやすい
- マネーフォワード クラウド会社設立:質問に答えるだけで定款が完成
- freee会社設立:電子定款にも対応し、登記書類も一括作成可能
- bizocean:業種別のテンプレートが豊富で、検索機能も便利
よくある質問と専門家からのアドバイス
定款作成に関しては、初心者がつまずきやすいポイントがいくつかあります。以下に、よくある質問とその回答をまとめました。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q. 無料テンプレートでも法的に問題ない? | 内容が法令に準拠していれば問題ありません。ただし、最新のものを使用しましょう。 |
| Q. 電子定款にするメリットは? | 印紙税4万円が不要になるため、コスト削減につながります。 |
| Q. 自分で作成するのが不安です。 | 専門家(司法書士・行政書士)にチェックを依頼するのがおすすめです。 |
定款は会社の未来を左右する大切な書類です。信頼できるテンプレートやツールを活用しつつ、必要に応じて専門家の力も借りて、万全の体制で作成を進めましょう。
まとめ|理想の会社設立を叶える定款テンプレート活用術
起業を成功させるためには、定款の作成が欠かせません。定款は会社の基本ルールを定める重要な書類であり、法人設立の第一歩として正確かつ適切に作成する必要があります。
本記事では、定款の基本的な役割や種類、作成の流れから始まり、テンプレートの選び方や活用法、法人格や業種別の記載例、さらには便利な入手先やツールまで、幅広く解説してきました。
無料・有料テンプレートの違いや、電子定款のメリット、カスタマイズのポイントなどを理解することで、より自社に合った定款を効率的に作成することが可能になります。また、定款の記載例を参考にすることで、記載ミスや漏れを防ぎ、スムーズな登記申請にもつながります。
さらに、日本公証人連合会やクラウドサービス、無料ツールを活用すれば、初心者でも安心して定款作成に取り組むことができます。必要に応じて専門家のサポートを受けることで、法的な不備を防ぎ、より確実な会社設立が実現できるでしょう。
定款テンプレートは、起業の不安を軽減し、理想のビジネスを形にするための心強い味方です。ぜひ本記事を参考に、あなたに最適なテンプレートを見つけ、スムーズな会社設立を目指しましょう。
